雪舟回廊

ガーデンツーリズム

雪舟回廊の構成庭園

毛利博物館・毛利氏庭園(もうりはくぶつかん・もうりしていえん)

【所在地】
山口県防府市多々良1-15-1
【開園面積】
83,957.13㎡
【入園料金】
庭園:大人400円/小中学生200円
博物館:大人700円(1,000円)/小中学生350円(500円)
共通券:大人 1,000円(1,200円)/小中学生 500円(600円)
※( )内は特別展「国宝」開催中の料金。※団体料金(20名以上)は1割引。
【公開時期】
通年(毛利博物館は、12月22日~12月31日休館)
【施設管理者】
公益財団法人毛利報公会

 毛利氏庭園・毛利博物館は、大正5 年(1916)に建てられた公爵毛利家の本邸を、庭園・博物館として公開したものです。公爵毛利家は、戦国時代には中国地方の覇者として、江戸時代には長州藩の藩主として明治維新を主導した名家で、雪舟筆の国宝「四季山水図(山水長巻)」など、数多くの文化財を保有してきました。

雪舟の庭作り思想に触れる! 雪舟筆の国宝「四季山水図(山水長巻)」

 庭園は、瀬戸内海に面したなだらかな多々良山(たたらやま)の南斜面を、広範囲に造成して作られています。瓢箪池(ひょうたんいけ)を中心とした池泉回遊式の形式は、江戸時代の大名邸庭園の姿をよく残し、旧長州藩主家の邸宅にふさわしい雄大なものです。同時に、瀬戸内の多島美を借景に巧みに取り込んだ構成や、コンクリート造りの大灯籠など、日本を代表する近代和風庭園として、平成8年(1996)には国の名勝に指定されています。

 本庭園は他の構成庭園とは異なり、雪舟が作庭した庭園ではありませんが、庭内の石組や植栽には、雪舟の水墨画に描かれた風景を想起させる場面も多く、雪舟庭園をはじめとする、古代以来のあらゆる庭作りの思想を取り込んで成立した、日本庭園の集大成と呼ぶべき庭園です。それは、雪舟の庭園が、この地域において、後の時代、どのように受容されたかを示す好例と思われます。また、園内の毛利博物館で毎年期間限定で公開される、雪舟水墨画の最高傑作「四季山水図(山水長巻)」を見ると、自然の美しい風景が多く描かれ、そこからは雪舟が庭作りで何を目指したのか理解することができます。本回廊の各構成庭園と「四季山水図(山水長巻)」、毛利氏庭園をあわせて鑑賞することにより、雪舟の庭園を総合的に理解し、楽しむことができます。

  • 庭園マップ
  • 毛利博物館

計画のテーマでの位置づけ

雪舟山水画の最高傑作とされる国宝の「四季山水図(山水長巻)」を鑑賞できる施設。中国伝統の山水画に、日本的要素を加味しながら、四季折々の風景を描いた長巻には、雪舟が思い描いた理想郷が描かれています。この画巻を鑑賞することにより、各構成庭園において、雪舟が何を望み、何を目指して庭作りを行ったのか、より深く理解することができます。作品保護のため、通常期は複製の展示に留めざるをえませんが、毎年11月には、園内に設置された毛利博物館内で開催される特別展「国宝」において、雪舟筆の実物を公開します。

また、自然の地形を活かして作られた庭園内では、雪舟の水墨画を思わせる、多彩な石組や植栽を見ることができます。また春の梅や桜、初夏の新緑や深秋の紅葉など、四季折々に姿を変える美しさは、見る人の心に響くだけでなく、この庭園が造られた20 世紀までの間に、雪舟の庭作りの思想が、どのように受け継がれ、日本庭園として発展を遂げたかを知ることができます。

園内に設置された毛利博物館は、山水長巻や庭園をはじめとする毛利家伝来文化財の研究施設として、50余年の実績を有する施設です。常設の研究・見学施設として、雪舟や庭園に関するガイダンス施設を備え、いつでも来園者の疑問に直接答えることができるのは、他の構成庭園には見られない毛利氏庭園ならではの魅力です。